ベクレルという単位の意味は?
長らくアップデートできていませんでした。(反省)
さて、善くも悪くも放射線関連の用語が一年前では考えられないほど目につくようになっていますが、残念ながらきちんと分かって使われていないことが多いように感じます。
そこで、今回は「ベクレル」という単位の持つ意味について考察したいと思います。
ベクレルの定義
放射線医学総合研究所のWebページによると・・・
ある物体に含まれる放射性同位元素が1秒間に壊れる数(放射性物質の量も表します)。放射性同位元素が1個壊れる時に必ず放射線を1本出すというわけではないので、カウント数と放射能(Bq)は一致しません。放射性物質によって、放射線の性質や、半減期が変わるため、違う核種の放射能を足しあわす事は原則としてできません。
となっています。
つまり、放射性物質が1秒あたり1「原子」の割合で壊れていく単位です。
これがどういうことかを考えるために、もう少し関連する単位の定義を見ていきましょう。
半減期
以前のポスト「正しい科学知識を!」からの引用です。
放射性物質の物質ごとに固有の一定の確率で崩壊が発生し、もともとの量の半分が確率的に崩壊する期間が半減期です。簡単に言うと、はじめ100個の放射性原子があってそのうちの50個が崩壊(放射線を出して安定化する)するまでの時間が半減期です。
アボガドロ常数
google電卓によると「アボガドロ定数 = 6.0221415 × 10^23 mol-1」となってます。
これは、1「分子」あたり6.022掛ける10の23乗 個の原子が含まれているということです。
でもって、この分子というのは元素の重さを考えるのに便利な単位でして、中学・高校あたりの理科に出てくる周期表の見ると、原子番号のほかに「原子量」というのが書いてあると思います。この原子量に「g」(グラム)という重さの単位をつけると、1分子あたりのその元素の重さを表すことになります。
同位体
物質を構成する基本の要素を「原子」と呼びますが、このこの原子のレベルでの個々の物質を表すのが「元素」です。例えば純金と呼ばれるものは、金という「元素」が集まった金属のこてです。
原子は中心にある原子核とそれを回る電子から出来ていて、この原子核は陽子と中性子からで来ています(面倒な話ですが、中学校の理科の範囲ですので覚えていてください)。
原子を構成する陽子の数によって性質がかわるので、陽子の数を原子番号と呼んで元素を区別しています。
元素の違いというのはそれぞれの原子の性質の違いを示すのですが、なぜか原子核を構成する中性子の数がかわっても「化学的」性質は変化しません。
ということで、同じ元素の中に中性子の数のことなる原子が存在してその原子たちを「同位体」と呼びます。
同位体は中性子の数が違うことからその重さが違っていて、それぞれの同位体を表すために原子量を使って表記します。
また、同位体は、「化学的」性質はかわらないのですが、物理的には性質が違っていて、その中で不安定なものは、原子が壊れて(崩壊して)安定した別の元素になってしまうものがあります。この原子の崩壊の際に何らかのものが出てくることがあって、放射線が出てくるような崩壊をする物質を、「放射性同位体」と呼びます。
ちなみに、放射線はα線(ヘリウムの原子核:陽子1個と中性子1個の固まり)、β線(電子)、γ線(電磁波)などに別れ、それぞれ全く違った物理的性質を持ちます。
改めてベクレル
前置きが相当長くなりましたが、上記をまとめると、原子のレベルで毎秒1個の放射性同位体が壊れる現象を表すのが、「ベクレル」です。
1分子(原子量グラム)の重さの放射性物質の中には、アボガドロ常数の数のベラボウな数の原子があって、このうちのいくつの原子が壊れるかは、放射性物質の物理特性として決まっています。この性質を表すのが実は半減期なのです。
実は、物理現象は観測をもとに規定されていて、「確率的に」決まった振る舞いをするだけで、放射性物質が原子レベルでいつ壊れるかは誰にも分からないのですが、十分に大きな量の原子を観察すると、そこに規則性があって、その確率的な規則性として半減期が規定されています。
言い換えると、1分子の放射性物質があった場合、半減期が経過した後に残っている放射性物質が1/2分子(3.011 x 10^12個の原子)だということです。
これで分かる通り、半減期が長いほどベクレルの値が小さくなり、半減期が短いほどベクレルの値は大きくなります。
セシウム137の崩壊量
世間を騒がしているセシウム137ですが、この物質は先に書いた定義のように、原子量が137のセシウムの放射性同位体で、ベータ崩壊するそうです。セシウム137の半減期は、30.1年となっているので、ここから1分子あたりのベクレルが計算できることになります。
ただし、放射性同位体の現象は、指数関数的に減っていくので、単純に
1/2 x アボガドロ常数 / (30.1年 x 365日 x 24時間 x 60分 x 60秒)
としても、一秒あたりの崩壊数は分かりません。
ちょっと数学的になりますが、自然対数を使わないといけなくて、上記の1/2 の代わりに ln(2)という値が必要です。
すると、ln(2) は、だいたい0.693になります。
(((((アボガドロ定数 * ln(2)) / 30.1) / 365) / 24) / 60) / 60 = 4.39747434 × 10^14 mol-1
137グラムのセシウム137があると、4.397x 10^14 ベクレルということになります。
1グラムあたりに直すと、 3.20983529 × 10^12 ベクレルで、だいたい 3.2TBeq(テラベクレル)ということになります。
百万分の1にして、1マイクログラムあたりでも、3.2メガベクレル
さらに千分の1にして、1ナノグラムで、3200 ベクレルです。
もしもこの1ナノグラムが1キログラムのなかに紛れ込んでいると、「3200ベクレル/キログラムの放射能がある!」となるのです。
裏を返すと、セシウム137が、1000ベクレル/キログラム 観測されたというのは、1キログラムのなかに、312ピコグラムの放射性同位体が含まれていたということになります。
食卓塩の一粒の重さが、0.1ミリグラムだそう(こちらの情報)なので、そのさらに、百分の一の、千分の一の、三分の一ぐらいの重さのものが混じっているということです。
一般的に考えて、目に見えるシロモノではありません。
(続く)
ハワイの海底ケーブル陸揚げ局
国際通信の手段
現在、世界中を駆け回る情報通信の主流は、海底ケーブルとなっています。もちろん人工衛星を使った通信もあるのですが、3万6千Km上空の静止衛星を介すると、光速の全波を駆使しても、片道0.3秒程度の遅延が発生します。さらに、コストの問題もあって、(通常時の)国際通信は衛星通信よりも海底ケーブルがほとんどを占めているようです。
日米間の海底ケーブル
「submarine cable map」と検索すると、色々な海底ケーブルの地図が見つかると思います。まー世界は広く色々な海洋に海底ケーブルが張り巡らされているのですが、通常私たちが最もよく使っているのは日米回線だと思います。
実は、この日米回線が何回線通っているのか正確に(明確に)示された資料は見つからなかったのですが、直接日本から米国本土に繋がっているものだけでも4本以上はあるようです。
そして、先の3.11 大震災の折には結構な数のケーブルが分断されその復旧に大変な努力がなされたようです。
この海底ケーブルの復旧作業ですが、「PC-1」というシステムについては適宜進捗が公開されていて、3.11直後の作業開始から最終的に作業が終了したのは6月20日だったとのことです。PC-1の作業については
こちらで、Agilecatさんが日本語にまとめています。
初めての日米回線
実はこの現在主流の海底ケーブル回線ですが、日米回線が開通したのは1964年だったようです。このときの回線はハワイ経由で米国本土につなげられました。
ハワイの陸揚げ局は、ホノルルのあるオアフ島の西側に複数箇所位置しています。
これらの陸揚げ局の一つとして、”Kahe Point Cable Landing Site”があります。
Kahe は、オアフ島の南西部に位置していて、すぐそばに火力発電所があります。色々な資料から場所は特定できたのですが、残念ながら現場に行っても、海底ケーブルが入っていると思われる土管(海の中)と、もしや?と思える建物は見つかったものの、看板のような明らかなものは見つかりませんでした。
Makaha Cable Landing Station
Kaheは今ひとつ寂しかったのですが、気を取り直して車で30分ほど北上して、オアフ島西側のもう一つの陸揚げ局のある Makaha へ行ってみました。Makahaは、先にあげた初めての日米回線である「TPC-1」を陸揚げした場所です。
ケーブル自体は、ビーチの下を通っているらしくまったく見えませんでしたが、陸揚げ局自体はばっちり確認できました。
さらに、フェンスの前には「AT&T」と書かれた立派なマンホールがありました。このマンホールの下に、数十テラ以上の回線が通っているかと思うと感慨深いものがあります。
Aulani disney resort Hawaii
今回は、初めての休日ネタです。
たまたま、Aulani のオープン日に近くにいたので、ちょろっと足を運んでみました。
Aulaniは、disneyがはじめてハワイに造ったリゾートです。
3年前から工事中の姿を見ていましたが、やっと本日(2011/08/29)オープンした模様です。
朝、まだ公式オープン前に海岸から取った写真です。
9時のオープニング後に、再び行ってみたらら大変な人でした。

ディズニーのキャラクターには、残念ながら会えませんでした。スタッフにきいたところ、キャラクターブレックファーストでないと会えないとか。しかもこの朝食は宿泊客のみの予約制とか・・・

とはいいながら、一度プールサイドを歩いているミニーを見かけました。(朝食会場に行くところ?)

で実は・・・
私はそんなにディズニーが好きなわけではなく。たまたまオープニング時に近くにいただけで。のーんびり静かなコオリナが、これで一気に人の数が増えるなーと、勝手に憂いでいます。
メガソーラーの使いみち
メガソーラーブーム?
3.11以降、あれこれの理由からメガソーラー発電があちこちでニュースとなっているようです。だたし、この流れは実は結構以前から始まっていて、マスコミで取り上げられて目につき始めたのが、3.11以降であるというのが、当事者の意識ではないでしょうか?
例えば、国東半島のメガソーラーは、「九州メガソーラー株式会社」という組織が昨年(2010年)3月に発足して、10MWの「国東市メガソーラー発電所」の建設を発表していますし(2010年8月30日 大分県発表)、新潟県では、昭和シェル石油と共同で、2010年8月31日に1MWのメガソーラー発電を稼働開始しています。
(北陸地方だと、北陸電力も管内4カ所に各1MWの発電所計節計画を、2009年5月27日に発表しています。)

新潟雪国型メガソーラーの外観
実は、これらのメガソーラーブームは、経産省の政策による「補助金」と電力買取を前提として成り立っているように思われます。
(概要については、こちらの日刊工業新聞の記事をどうぞ)
メガソーラーでどれだけの電気が作れるか?
メガソーラーについては、色々な報道発表が出ていますが、だいたい1MWの発電所で、100万kW時/年間 の発電が見込め、その発電量は300世帯の電力供給量に相当する。というのが共通の試算のようです。
と、数字に混乱していませんか?
ちょっと整理しましょう。
そもそも「メガソーラー」のいわれは、最大発電能力が1MW(いちめがわっと)ということです。
1M=1,000k(せんきろ)=1,000,000(ひゃくまん)
という単位に基づいて最大で、1,000,000W(ひゃくまんわっと)の発電能力があるということです。
次に、Wh(わっとじ)という単位は、1W(いちわっと)の電力を1時間発電したときに、1Wh(いちわっとじ)といい、発電「量」の単位です。
(余談ですが、SI単位系の趣旨からすると、Wの中には、案に「/s」(1秒当たり)という意味が含まれてますね。)
上記のように1MWの設備で、100万kWh/年 の発電量が見込まれるということは・・・
1,000,000kWh/365日 ⇒ 2,740kWh/日 ⇒ 1,000kW × 2.74時間
年間平均で、最大発電能力を毎日2.7時間持続できるということのようです。
ただし、最大発電能力というのは、ガンガンに日の照った真夏の真昼間の太陽光のときに取り出せる電力ですから、それ以外の季節や時間帯では、1MWを下回る発電しかありません。
ということで、メガソーラーの発電は短期(1日の間の変動)、長期(年間変動)の変動が非常に大きい、いわゆる「不安定」なものであることをよく理解する必要があります。
不安定で何が悪い!
上記のように、メガソーラーの発電量は変動が大きいと書くと、「安定供給できない」というネガティブな意見をおっしゃる方がいるようですが、それは、現代日本の世界でも稀な電力の安定供給を前提とした考えに基づいているのではないでしょうか?
「使いたいときに使いたいだけすぐ使える。」に慣れてしまうと、ちょっとした電力不足でも非常に不満(不安)を持ってしまいがちです。
でも、もっと身近なところで、自動車ってエンジンで発電していますがエンジン止めてもエアコン回るし、スターターも動くし・・・
そうです、蓄電すればいいんです。
現在の発電所は規模の経済で、大規模化したために蓄電できずリアルタイムで消費するしかありません。
そこで、発想を変えて、蓄電できるぐらいで発電する規模におさえれば、結構無理はないのではないでしょうか?
なお、蓄電できる電気は「直流」なんですが、通常の商用発電・送電している電気は「交流」です。
そして太陽光発電で直接取り出せる電気は「直流」なので、結構蓄電に向いていると個人的には思っています。
持続可能エネルギーとデータセンター
むつ小川原グリーンITパークでは、太陽光と同様の「持続可能エネルギー」である、風力発電を使ったエネルギーと蓄電設備を活用したデータセンターの構想を打ち出しています。もちろん風力発電だけでは無謀すぎるので、商用電力も取り入れて「トライブリット」での電源供給を前提としたデータセンターです。このようなデータセンターを発電所に併設することで、売電に頼ることなく(特高への昇圧や交流化の必要もなく)エネルギーを活用することが可能となるのではないでしょうか?

むつ小川原グリーンITパーク
メガソーラーは、ISOコンテナデータセンター何台分?
最後に、メガソーラーの活用例として、先の記事に書いた「ISOコンテナデータセンタ」を例にとって考えてみましょう。
実は、ISOコンテナDCは、「トライブリッド」を念頭に開発していて、メガソーラーを相性がいいんです。
ISOコンテナDCに省電力型のサーバーを詰め込んで巨大なストレージサービスを作った場合、20フィートで600台弱のサーバーを稼働させても、30kW~40kWで稼働させることが可能です。まあ、40kWの消費電力として計算してみましょう。なお、話を簡単にするため、蓄電設備は理想的に用意できるものとしてみます。
1日の消費電力: 40kW × 24(時間) = 960kWh
1年の消費電力: 960kWh × 365(日) = 350,400kWh
メガソーラーの年間供給電力: 1,000,000kWh
1,000,000kWh / 350,400 kWh ≒ 2.85 (台)
ということで、ざっと3台のISOコンテナDCを運用できることになります。
100万kWhを売電した場合、破格値の¥40/kWhで買ってもらったとしても、年間4000万円にしかなりません。
一方3台のISOコンテナDCがあれば、この価格以上の粗利を出すサービスって結構作れるものではないでしょうか?
ISOコンテナデータセンタの意義(その2)
前回、「ISOコンテナデータセンタの意義(その1)」を書いた際、最後に「続く」と記載しておきながら、随分と時間が経ってしまいました。
今回、どこまで書けるかわかりませんが、とにかく始めたいと思います。
前回コンテナの利用法として、以下の項目を挙げました。
・ラック貸し(コロケーション)モデルに使わない。
・供給電力を過剰に準備しない。
・徹底的に省電力に取り組む。
・コンテナ単位でPaaS/SaaSサービスを提供する。
そして、これらを考慮しつつビジネスモデルのなかにコンテナの特性を組み込まないと、コンテナDCを使う意義が見出せないと書きました。
実は上記の項目には上げていない非常に重要な項目があります。強いて言うと、「コンテナ単位でPaaS/SaaSサービス」の中に含まれるのですが・・・
機器障害に強くする
コンテナ単位でのサービスを考える際、一番困るのが機器の故障に対する対策だと思います。特に壊れやすいものは?というと、一般的には、コンテナDCの内部に組み込んだサーバー類になるでしょう。さらにサーバーの中でもハードディスクは物理的な動きが多い分もっとも壊れやすいと言えるでしょう。
一方、コンテナDCを活用してサービスの価格メリットを出してゆくためには、メンテナンス費用は徹底的に下げなければなりません。となると、実は答えは簡単で、
単体の機器が壊れてもサービスに影響が出ないような基盤を持つ
とすればいいのです。
これって、どこかで聞いたことがないでしょうか?そうです、「Googleのシステムは壊れた機械を定期的に交換するだけ」って聞いたことありませんか?これと同じ発想でサービスを作ることが一つの解決策です。
コンテナDCは密閉空間にあるがために空調効率を上げることができます。したがって、内部の機械(サーバー)が壊れるたびに扉を開いて、人が入って、点検して・・・などという従来の運用をしていては、全くもって効率が上がりません。
例えば、週に一回メンテナンス曜日を決めておいて、一週間分の故障した機械を、全部まとめて交換する。といった運用をしたいものです。
そのために必要な技術は、分散化技術です。Googleは当初から分散技術を駆使した「クラウド」といわれているように、分散化の技術を上手く使えば、個体の機器障害には非常に強いシステムを作ることが可能です。
分散化技術
分散化技術は、特に新しい考え方ではありません。結構昔から、HPC(High Performance Computing) の分野では、「グリッド」として考えられているテクニックです。この場合分散化技術は、主に高いパフォーマンスを求めるために使われています。
一方、近年は、高パフォーマンスばかりを目的とせず、高可用性を主眼とした分散化技術が現れてきています。特に、分散ストレージは、データを複数個所に分散保持することで個体障害に対する耐性ばかりでなく、地域全体の障害に対しても強固にする可能性があります。
また、分散エンジンはアプリケーションの実行基盤を分散化することで、システム全体のパフォーマンスと、個体の障害に対する耐性と高めることが可能です。
これらの、分散化技術をコンテナDCに取り入れて、PaaS/SaaSを構築することで、コンテナ単位での運用性の高いサービスが提供できるであろうと考えています。

サーバー自体の改善
コンテナDCは、非常に限られたスペースと電源容量の中でサービスを作り上げなくてななりません。
この制限に対する回答として、
省スペース/省電力サーバー
を採用することが考えられます。
現在一般的になっている19インチラック搭載可能なサーバー機器は、90cm前後の奥行きを持っています。しかし、よーくサーバーの中を見ると、結構空きスペースがあるはずです。また、空きでありませんが、AC電源スペースが結構幅を利かせているかと思います。
年々サーバー機は省スペースになっているとはいえ、19インチ1Uが下限のように見て取れます。でもね、高性能なノートPCで十分な仕事量って、サーバーでも結構ありますよね???そう思うと、せめて1Uに2台ぐらいのサーバーがおけないものかと思うわけです。しかもノートPCと同じくらいの消費電力で・・・
そんなわけで、アイピーコア研究所が、通信機器と同じサイズのサーバーを作ってみました。しかも産業用の部品で。
すると、19インチラック1Uに2台のサーバーが搭載可能で、消費電力はノートPCレベル。さらに産業用の部品を使用することで、価格は多少高くなりますが、その分MTBFが飛躍的に上昇します。理由は簡単です、「自動車の中に組み込まれているコンピューターって、しょっちゅう壊れますか?」。
自動車の中って、PCメーカーの動作保障から大きく外れていますよね?にもかかわらず、自動車メーカーはコンピューターを採用しています。これが、産業用コンピューターのすごいところなんです。
このような、新しいコンセプトのサーバーをセットで考えてはじめて、コンテナDCの効率化が見えてきた感じがするのではないでしょうか?
最後に、ここまでコンテナDCにマッチしたサーバーなので、DC給電にしてみました。これで、省スペースに加えて、AC/DC変換効率も上昇できるはずですよね。
ISOコンテナデータセンタの意義(その1)
このところ、ISOコンテナデータセンタについて紹介してきました。(「走る」ISOコンテナデータセンタ 解禁 、ISOコンテナデータセンター 始動!)
今回は、お約束通り(?)このデータセンタの使いみちについてふれたいと思います。
コンテナDCは安いのか?
「コンテナ型」データセンターのメリットとして、建築物ではないので安くつくれる。というような触れ込みを耳にしますが、これって本当でしょうか?
結論から言うと、コロケーションのための設備として、建物とコンテナを比較するとラック単価いおいてコンテナは決して安くありません。
現在トラディッショナルなDCでラックを借りると、20万円/月で、4kVAぐらいの電気とベストエフォートのトランジット(ネットワーク)がついてくると思います。
一方、6mぐらいのコンテナ1つで、6ラックから8ラック実装可能で、どんぶり勘定で仮にこのコンテナ設備が1億円で準備できたとします。すると10年償却で考えて・・・
10000万円/10年/12ヶ月/8ラック = 10.4万円
これに電気代・トランジット・運用(人件費)・セキュリティー・保守の原価を積んでゆくと、20万円は結構ハードです。
しかも、この初期費用には受電設備や、敷地整備の値段は含まれていません。
コロケーションなので、お客様の要望に対応しようとすると、100kVA/ラックぐらいの電源設備を準備して、コンテナあたり、800kVA。コンテナを10個置こうとすると、8MVAの電源設備が必要で、そのためには特高電源を引いてこなくてはなりません。すると、この電源を準備するだけで5億円以上かかります。さらにネットワークを引いてくるにも相当の費用が・・・
つまり、コロケーションサービスのためにコンテナDCを使ってもまったくもって価格メリットがありません。
コンテナDCの利用法
では、コンテナDCの特徴を引き出す利用法とは何でしょう?
簡単に言うと、上記の前提を否定すればいいのです。
・ラック貸し(コロケーション)モデルに使わない。
・供給電力を過剰に準備しない。
・徹底的に省電力に取り組む。
・コンテナ単位でPaaS/SaaSサービスを提供する。
具体的には、サービスとして提供するPaaS/SaaSを決めて、その採算性を考えてコンテナ単位のスケールアウトを考えればよいのです。PaaS/SaaSモデルがあらかじめ決まっているので、コンテナDCに入れる機器(サーバー類)もあらかじめ選定可能で、コンテナごと1もしくは2モデルのサーバーを大量導入すれば、メンテナンスの費用も相当下げられます。ここまでくれば、(単価が多少高くても)省電力を追求したサーバー類を選定することが出来て、そうなると発熱量が抑えられるので、空調も過剰に準備する必要がなくなります。
別の言い方をすると、設備から積み上げる方法でなく、利用方から決めて設備に落としてゆけば、おのずと設備にかけられる費用が決まり、また、てスケールアウトできるような事業モデルであれば、コンテナ単位という分かり易い事業計画が可能です。
実は以上のような思想から、今回のISOデータセンタが計画されました。したがって、徹底的に省電力な空調設備が組み込まれているのです。
(続く・・・)
ISOコンテナデータセンター 始動!
先にご紹介した、「走る」ISOコンテナデータセンタの詳細をお伝えします。今回はコンテナ自体に焦点を当てます。
このISOコンテナDCは、アイピーコア研究所が企画・設計に協力して、日本フルハーフ社が製造しました。そして、2011/06/08(水)より幕張メッセで開催されている、Interop Tokyo 2011 に、コンテナを丸ごと持ち込んで展示しています。
今回のインターロップで、ベストオブショウアワードのグランプリにも選ばれたそうです。
このISOコンテナDCの経常的な一番の特徴は、ISO規格の海上輸送コンテナをベースとしているため、陸上・海上いずれでもどこへでも輸送可能なことです。また、機能的にNo.1の特徴は、間接外気空調をメインの空調として採用しているため、非常に省電力の運用が可能になる点です。
少々面倒ですが、間接外気空調の仕組みを以下に記します。
・サーバー室は密閉する
・サーバー室内に溜まった熱を吸収するための吸熱装置(車のラジエータのようなもの)を設置する
・サーバー室外にも熱を排出するための排熱装置(車のラジエータのようなもの)を設置する
・サーバー室内の吸熱装置と室外の排熱装置を冷媒でつなぐ
以上の構造体でサーバー室内外に温度差があると・・・温度を同じにするように吸排熱が働いきます。通常はサーバー室内の機器は熱源となり外気に比べてサーバー室内の温度は高くなり、外気は一定温度を維持しますので、サーバー室内の温度がどんどん下がっていくことになります。
簡単に言うと、水を張った風呂桶に熱湯の入ったコップを沈めると、熱が分散して沈めたコップの中は冷たくなるのと似たような原理です。
さらに、このサーバー室内外の熱交換器の冷媒は対流によって自然に循環するため、動力を一切必要としません。(サーバー室内外の温度差が動作エネルギー源になります。)
ただし、「熱交換」では外気温度以下には絶対に温度を下げられないため、真夏の暑さのピークを乗り切るために補助空調として、通常のエアコンを付けています。
さて、コンテナの中身はこんな感じです。
一見、通常のDCと変らない風景ですが、実はラックの上方に熱交換器(吸熱装置)にサーバーで暖められて空気を当てるためのファンが並んでいるのが見て取れます。ちなみにこの20ft(外寸約6m)のコンテナで8ラック収容し各ラックに40Uのスペースがあります。
こちらは、受電&ネットワーク接続口です。
残念ながら内部は撮影できませんが、ここにAC400V、200Vまたは、DCで給電することが出来ます。ネットワーク用には、36本の光の受け口と、8本のメタルおよび電話線の受け口があり、内部のパッチパレルに繋がっています。
そしてこちらは、消火設備です。
このコンテナでは、スペースの関係で二酸化炭素を採用しています。蓋のしてある上部がメインの装置で、蓋をはずした下部が予備の装置です。
最後に、ちょっとマニアックなエアサスの写真です。
通常、このサイズのコンテナ車台にはエアサスは使っていないそうですが、今回はサーバーを満載したまま走る第一号機なので、精密機械にやさしいエアサスを特別に準備したそうです。
次回は、内部の電子機器についてや、ISOコンテナDCの活用方法などについてまとめてみたいと思います。
*次回っていつだよ?ってな突っ込みは無用にお願いします。
「走る」ISOコンテナデータセンタ 解禁
お久しぶりです。
3.11以降いろいろと忙しくなり、なかなか文章を書く心のゆとりがありませんでした。とはいえ、本日はビッグニュースをお伝えしたくて眠い目をこすりながら書かせていただきます。
本日(2011/06/08)、幕張メッセで開催されるインターロップ東京2011にて、ISOコンテナデータセンタが日本フルハーフ社から展示発表されます。
実は、この展示については、日本フルハーフ社からこちらのようなプレスリリースが出ています。
さらに、NHKの「Bizスポ」も特集されるた(6月8日放送)ため、こちらのような案内が出ています。(2011/06/08以降はURLが移動するかも?)
このISOデータセンタの形態的な一番の特徴はISO規格のコンテナを日本で始めて使用したデータセンタであることです。海外では既にISO規格の40フィートコンテナを使ったDCが製造されていますが、Made in JAPAN では初めてです。また、機能的な特徴としては以下があげられます。
- ISO規格のため、陸上(トレーラー)・海上(船舶)にて移動可能
- アルミ&断熱素材を用いた高断熱効果のあるコンテナ(直射日光も平気)
- 自然循環式熱交換器による間接外気冷却(サーバー室内の空気は密閉型)
- 受電設備・空調設備を一つのコンテナ内に収容
いずれの機能をとっても(海外を含めて)かなり独創的なものです。
とはいえ、このようなICTインフラを異業種業界の日本フルハーフが単独で開発するのは困難で、企画段階からIPコア研究所が参画しています。また、クラウド・ビジネス・アライアンス(CBA) 技術コミッティーがバックエンドで仕様に対するアドバイスやら、宣伝やらを手伝ってきました。以下にCBAでのISOコンテナDCの過去の情報公開をご紹介します。
以上、ごくごく簡単な紹介でした。
ISOコンテナDCの詳細については、従来型DC建築とコンテナ型の比較を含め、後日改めて報告したいと思います。
WHOが「日本は問題ない」と
2011/3/11の地震の後、津波とそれに続く原発事故により、日本が世界から注目を受けています。外国政府および外国企業から公式・非公式に自国民に対して日本からの退去を促しているとも聞いていますが、その一番の原因は原発事故に対する「風評」らしいです。
そんな中、WHOから、「日本への渡航を制限しない!」という、渡航自粛と正反対の公式アナウンスが出ています。(アナウンスはこちら)
もちろん、地震と津波で直接被害を受けたエリアには旅行の自粛を呼びかけていますが、日本への渡航は「制限しない」といっています。
また、原発事故に関してもFAQの形で情報を掲載しており、このFAQについては、日本語のPDF版も公開されています。
この日本語FAQは、少々硬い日本語で書かれていますが、決して難しい内容ではありません。ポイントは以下の2点だと思います。
1.日本政府のもとめる20km圏内からの避難と、20-30km圏内の屋外退避を守ること。その外部ではリスクが低い。
2.ヨウ化カリウム剤は行政からの指示ががあってから摂取すること。(無闇に摂取すると副作用のリスクがある。)
放射線のモニタリング数値も各所で15日・16日のピーク以降順調に下がっており、今のままの状態であれば、年間1mSvという一般人の基準に届くこともないでしょう。
@kawasaki_18 さんによるグラフ化
とにかく、マスコミの扇動的な情報や、うわさばなしに惑わされることなく、冷静に・理性的に判断してください。
パニックは、すべてを盲目にしてしまいます。
正しい科学知識を!
先日の大地震から、福島原発の事故報道が続いているわけですが、東電の記者会見での記者の皆さんの行儀の悪さや、テレビでの不安をあおるような報道姿勢を見ていると、もしかすると、科学技術の基礎知識の欠如が原因となっているのではないか?と、ふと思うにいたりました。
もちろん、知識不足だけではないのだろうと思いますが、少なくとも高等教育を受けた方々、さらには理科系大学教育を受けた方々は、是非とも正しい科学知識を再確認し、ご自身で考え判断してほしいのです。そして、身の回りにいる方々に正しい基礎知識にのっとったご自身の考えを解説していただきたいと考えています。
放射線の影響
放射線医学総合研究所では、今回の福島原発で報道されている放射線量の影響を解説しています。この解説ページで使われている図は、放射線量とその影響について非常にわかりやすく書かれていると思います。すごく気に入ったので図をリンクしておきます。
また、用語についても端的に定義されているので以下に引用させていただきます。
放射線の単位
| 読み方 | 単位 | 意味 |
|---|---|---|
| シーベルト | Sv | 人体が放射線を受けた時、その影響の度合いを測る物差しとして使われる単位。 |
| ベクレル | Bq | 放射能を表す単位。1ベクレル(Bq)は、1秒間に1個の放射性核種が崩壊することである。 |
| グレイ | Gy | 放射線が当たった物質が吸収した放射線のエネルギーで表される放射線量。1Gyは物質1kg当たりに1ジュール (J)のエネルギーが吸収されることを意味する。 |
(放射線医学総合研究所のこちらのページより引用作成。)
報道に使われている単位の意味
ここ数日でよく耳にするようになった、”Sv/h”は日本語で書くと「シーベルト毎時」になるかと思います。(専門用語だと「線量当量率」だそうです。)これは、xxSv/hの場所に1時間いるとxxシーベルトの線量を受けることを意味します。裏を返すと、その場に1分しかいなければ、1/60の線量しか受けないという意味ですね。
また、科学ではおなじみの、マイクロ や ミリ といった補助単位も多用されていますが、実はこの単位換算って意外と一般の方には意味不明なんですよね。
それをわかっていて、やさしい表現をしているのだとは思いますが、「xx百万マイクロ・シーベルト」などという面白い単位のボードで解説されているテレビ局もありましたね。
また、Svは累計で判断するための単位なので、安全基準としては、「一年間に受ける線量」とか「3ヶ月毎の線量」とかで基準を作っています。一方化学(ばけがく)的な影響からすると、同じ線量であっても、短時間に集中して浴びたのか長時間で緩慢的に浴びたのかでは結果が違ってきます。
いずれにしても、安全基準で決めている線量と短期的に人体に影響が及ぶ線量との間には非常に大きな差がありますので、安全基準を超えたからといって、すぐにどうこうというものではありません。
さらに、人体への影響ということになると、人間のような高等生物は「しきい値のあるシグモイド型」の生存率となり、一定の線量までは影響が出ないといっていい物です。(バクテリアのような単純生物は指数関数的にちょっとした線量でも影響が出ます。)
予断ですが、線量の強さという意味では、ここでは SvとGyは同じ値と考えてよいです。(専門家からするときっと乱暴ですが)
半減期
放射性物質の物質ごとに固有の一定の確率で崩壊が発生し、もともとの量の半分が確率的に崩壊する期間が半減期です。簡単に言うと、はじめ100個の放射性原子があってそのうちの50個が崩壊(放射線を出して安定化する)するまでの時間が半減期です。
原発の話題でよく登場するのは、ヨウ素131ですがこの物質の半減期は8.04日だそうです。一方もうひとつよく出てくる、セシウム137は半減期は30.0年とずいぶん長くなっています。
原発の基礎知識
@icoroさんが、ご自身のブログで「だからチェルノブイリとは違うって何度言えば分かるんだってばよ!原発についてまとめてみた」原発の基礎知識とチェルノブイリ、スリーマイル島の概要 が非常によくまとめています。是非みてみてください。
そして、後半に書かれている @icoroさん自信の意見についてもよく考えていただきたいと思います。
コメント
核物理学や原子力工学、放射線医学などの分野に関して私自身は素人です。以前(20年近く前)「放射線取り扱い主任者試験」を受験しようと勉強したことはあるものの、結局受験しなかった程度の錆付いた基礎知識しかありません。
それでも、自分の行動は自分自身で考えて結論付けようと心がけています。そして今回の原発事故については、報道されている放射線量の値は通常よりははるかに多いものですが、それが東京地方で直ちに問題となるものではないと、個人的に判断しています。
(だから今日も、子供と屋外で遊びました。)
<参考>
チェルノブイリ事故の際に日本で観測した放射性物質量
(出展: OECD/NEA CRPPH報告書)
Cs134+Cs137: 0.41 Bq/m2 最大値 (平均 0.13 Bq/m2)
131I(ヨウ素131): 3.8 Bq/m2 最大値 (平均1.2 Bq/m2)
<参考文献>
放射線概論 (通商産業研究社 発行)
チェルノブイリクライシス (竹書房)
















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