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ベクレルという単位の意味は?

1月 19, 2012

長らくアップデートできていませんでした。(反省)

さて、善くも悪くも放射線関連の用語が一年前では考えられないほど目につくようになっていますが、残念ながらきちんと分かって使われていないことが多いように感じます。

そこで、今回は「ベクレル」という単位の持つ意味について考察したいと思います。

ベクレルの定義

放射線医学総合研究所のWebページによると・・・

ある物体に含まれる放射性同位元素が1秒間に壊れる数(放射性物質の量も表します)。放射性同位元素が1個壊れる時に必ず放射線を1本出すというわけではないので、カウント数と放射能(Bq)は一致しません。放射性物質によって、放射線の性質や、半減期が変わるため、違う核種の放射能を足しあわす事は原則としてできません。

となっています。

つまり、放射性物質が1秒あたり1「原子」の割合で壊れていく単位です。

これがどういうことかを考えるために、もう少し関連する単位の定義を見ていきましょう。

半減期


以前のポスト「正しい科学知識を!」からの引用です。

放射性物質の物質ごとに固有の一定の確率で崩壊が発生し、もともとの量の半分が確率的に崩壊する期間が半減期です。簡単に言うと、はじめ100個の放射性原子があってそのうちの50個が崩壊(放射線を出して安定化する)するまでの時間が半減期です。

アボガドロ常数


google電卓によると「アボガドロ定数 = 6.0221415 × 10^23 mol-1」となってます。
これは、1「分子」あたり6.022掛ける10の23乗 個の原子が含まれているということです。
でもって、この分子というのは元素の重さを考えるのに便利な単位でして、中学・高校あたりの理科に出てくる周期表の見ると、原子番号のほかに「原子量」というのが書いてあると思います。この原子量に「g」(グラム)という重さの単位をつけると、1分子あたりのその元素の重さを表すことになります。

同位体


物質を構成する基本の要素を「原子」と呼びますが、このこの原子のレベルでの個々の物質を表すのが「元素」です。例えば純金と呼ばれるものは、金という「元素」が集まった金属のこてです。
原子は中心にある原子核とそれを回る電子から出来ていて、この原子核は陽子と中性子からで来ています(面倒な話ですが、中学校の理科の範囲ですので覚えていてください)。
原子を構成する陽子の数によって性質がかわるので、陽子の数を原子番号と呼んで元素を区別しています。
元素の違いというのはそれぞれの原子の性質の違いを示すのですが、なぜか原子核を構成する中性子の数がかわっても「化学的」性質は変化しません。
ということで、同じ元素の中に中性子の数のことなる原子が存在してその原子たちを「同位体」と呼びます。
同位体は中性子の数が違うことからその重さが違っていて、それぞれの同位体を表すために原子量を使って表記します。
また、同位体は、「化学的」性質はかわらないのですが、物理的には性質が違っていて、その中で不安定なものは、原子が壊れて(崩壊して)安定した別の元素になってしまうものがあります。この原子の崩壊の際に何らかのものが出てくることがあって、放射線が出てくるような崩壊をする物質を、「放射性同位体」と呼びます。
ちなみに、放射線はα線(ヘリウムの原子核:陽子1個と中性子1個の固まり)、β線(電子)、γ線(電磁波)などに別れ、それぞれ全く違った物理的性質を持ちます。

改めてベクレル


前置きが相当長くなりましたが、上記をまとめると、原子のレベルで毎秒1個の放射性同位体が壊れる現象を表すのが、「ベクレル」です。
1分子(原子量グラム)の重さの放射性物質の中には、アボガドロ常数の数のベラボウな数の原子があって、このうちのいくつの原子が壊れるかは、放射性物質の物理特性として決まっています。この性質を表すのが実は半減期なのです。
実は、物理現象は観測をもとに規定されていて、「確率的に」決まった振る舞いをするだけで、放射性物質が原子レベルでいつ壊れるかは誰にも分からないのですが、十分に大きな量の原子を観察すると、そこに規則性があって、その確率的な規則性として半減期が規定されています。
言い換えると、1分子の放射性物質があった場合、半減期が経過した後に残っている放射性物質が1/2分子(3.011 x 10^12個の原子)だということです。
これで分かる通り、半減期が長いほどベクレルの値が小さくなり、半減期が短いほどベクレルの値は大きくなります。

セシウム137の崩壊量


世間を騒がしているセシウム137ですが、この物質は先に書いた定義のように、原子量が137のセシウムの放射性同位体で、ベータ崩壊するそうです。セシウム137の半減期は、30.1年となっているので、ここから1分子あたりのベクレルが計算できることになります。
ただし、放射性同位体の現象は、指数関数的に減っていくので、単純に

1/2 x アボガドロ常数 / (30.1年 x 365日 x 24時間 x 60分 x 60秒)

としても、一秒あたりの崩壊数は分かりません。
ちょっと数学的になりますが、自然対数を使わないといけなくて、上記の1/2 の代わりに ln(2)という値が必要です。
すると、ln(2) は、だいたい0.693になります。

(((((アボガドロ定数 * ln(2)) / 30.1) / 365) / 24) / 60) / 60 = 4.39747434 × 10^14 mol-1

137グラムのセシウム137があると、4.397x 10^14 ベクレルということになります。
1グラムあたりに直すと、 3.20983529 × 10^12 ベクレルで、だいたい 3.2TBeq(テラベクレル)ということになります。
百万分の1にして、1マイクログラムあたりでも、3.2メガベクレル
さらに千分の1にして、1ナノグラムで、3200 ベクレルです。

もしもこの1ナノグラムが1キログラムのなかに紛れ込んでいると、「3200ベクレル/キログラムの放射能がある!」となるのです。

裏を返すと、セシウム137が、1000ベクレル/キログラム 観測されたというのは、1キログラムのなかに、312ピコグラムの放射性同位体が含まれていたということになります。
食卓塩の一粒の重さが、0.1ミリグラムだそう(こちらの情報)なので、そのさらに、百分の一の、千分の一の、三分の一ぐらいの重さのものが混じっているということです。
一般的に考えて、目に見えるシロモノではありません。

(続く)

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